まとめ
「ここちよい授乳室」ってどんなところ?10
◇調査を通して見えてきたこと
それは、乳幼児連れの家族のためにせっかく設けた授乳室が、結果としてユーザーのニーズや気持ちに沿っていないという実態です。このことは、授乳室に一定のコストとスペースを割いている施設運営者にとって、決して望ましい結果ではないでしょう。
私たちはこのような結果を生んでしまっている主な原因は、授乳室の計画・設計時において、そこを使う人々の行動や状況がイメージできていないことにあると考えます。
多くの荷物、ベビーカー、パパや上の子といった家族の存在、おむつ替えに必要な動作、さらには、週末の混雑した状況など。
本来、最初に前提条件としてしっかり理解されるべきことが抜けているために、「ピントのずれた」空間のつくりになってしまっています。
冒頭に述べたように、乳幼児の家族連れは、
・外出に伴う心身の負荷を限りなく軽減させ、快適に、ストレスなく利用できる施設を選ぶ傾向にある。
・そのために、事前調査(インターネット)や情報入手(口コミ)を行う。
・その際に、授乳室やそれに付随・関連する設備の充実度は施設選択の大きな要件になる。
ということを考えると、授乳室とは、単なる付帯設備を超えた、有効な「集客装置」としての側面を持っているとも言えます。
乳幼児連れの家族の行動実態や気持ちを的確に把握した上で、彼らが真に求める、「ピントの合った」空間づくりをすることは、ひいては、施設全体の価値を高める資産として機能するのではないでしょうか。
コメントはまだありません »
コメントはまだありません。
コメントする